使用頻度の高い薬剤であるCa拮抗薬についてです。皆さんも高血圧に対してはランキング1位ではないでしょうか。しかし、副作用もよくあると聞いていました。最近、立て続けにCa拮抗薬の副作用ではないかと疑う症例を経験したので調べてみました。
Ca拮抗薬の副作用として頻度も最も注意すべきものとしては過降圧でしょう。高齢者や
前立腺肥大でα遮断薬を服用しているなどの背景があると生じやすいです。
その他、逆流性食道炎、浮腫、便秘、歯肉増生があります。Ca拮抗薬を処方している場合は副作用の可能性を疑うことが重要です。
| ●主な副作用 |
| 過降圧 |
| 逆流性食道炎 |
| 浮腫 |
| 便秘 |
| 歯肉増生 |
その他、頭痛、動悸、めまい
副作用の頻度は、それぞれの薬剤の特徴によるため、Ca拮抗薬で一括りにするのは難しいですが、主にアムロジピンをなどのジヒドロピリジン系で多いとされます。アムロジピンだけに限ると、10mg以上の高用量で発生しやすい。
参考
| 分類 | ジヒドロピリジン系 | 非ジヒドロピリジン系 | |
| 代表薬剤 | L型 | ニフェジピン徐放錠 (アダラート) アムロジピン (ノルバスク) アゼルニジピン (カルブロック) ニカルジピン | ベラパミル (ワソラン) ジルチアゼム (ヘルベッサー) |
| T/L型 | ベニジピン (コニール) エホニジピン (ランデル) | ||
| N/L型 | シルニジピン (アテレック) | ||
| 主な使用目的 | 降圧 | 抗不整脈 | |
●逆流性食道炎
Ca 拮抗薬は、用量依存的に下部食道括約筋(LOS)圧を低下させ、食道クリアランスを阻害することが知られている。理論的には逆流症状やGERDを誘発、増悪させることが考えられます。
中でもアムロジピンなどジヒドロピリジン系は、非ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬と比較してOdds比 2.7で GERD 症状の悪化があったとされる。
(Hughes J, et al. Br J Clin Pharmacol. 2007 Jul;64(1):83-9.)
ただし、もともと胃食道逆流のない患者に対する Ca 拮抗薬の投与によって、必ずしもGERDが増加するというわけでもなさそうです。
●末梢性浮腫
末梢性浮腫は大半が6ヶ月以内に発生します。頻度は2~25%と幅があります。
(Savage RD, et al. JAMA Intern Med. 2020 May 1;180(5):643-651.)
足首の浮腫では、最大で4人に1人、高齢>75歳で多いとされます。浮腫が生じるとループ利尿薬を処方される処方カスケードにもつながってしまいます。
(Rivasi G, et al. High Blood Press Cardiovasc Prev. 2024 Apr 24;31(3):261–269.)
●便秘
便秘は1%未満で発生する。特に高用量ベラパミル使用で生じる。
●歯肉増殖
結構有名なのですが、医師にとっては意外と盲点になります。
歯肉増殖、最大で2%程度発症します。アムロジピンなどのL型ジヒドロピリジン系が最も発生しやすく、T/L型、N/L型が生じにくい。また、歯垢や歯周病のある人はより、歯肉肥大が目立ち、Ca拮抗薬服用+口腔内環境が大きく影響します。
(Wang JG, et al. J Clin Hypertens (Greenwich). 2023 Sep;25(9):801-807.)
あまり口腔ケアができない介護施設で発症していることがあります。基本は薬剤中止です。高血圧が持続する場合は、T/L型、N/L型のCa拮抗薬に変更するのも手です。

(Păunică S, et al. Rom J Morphol Embryol. 2022 Aug 16;63(1):253–259.)より
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