造影CT検査施行時の ハードルと対策

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 造影CTの撮像を考慮する際に、いくつかのハードルがあります。特に腎機能が悪い時、撮影するべきか迷いますよね。

 最近出版された急性腹症診療ガイドラインでも触れられていたため、簡単に実用的にまとめてみました。

腎機能障害eGFR  30mL/min/1.73m2未満では造影剤腎症の発症リスクあり、検査前の説明と予防が必要  

予防方法 2つ
1. 生理的食塩水 1 mL/kg/hr 造影前後6~12時間

2.  150mEq/Lの重曹を3mL/kg/hで1時間前に投与し、1mL/kg/hで造影後6時間輸液する 。(8.4%メイロンであれば、1mLあたり1mEqになります。)
アレルギーの既往ヨード造影剤などのアレルギー歴や気管支喘息のある患者は注意が必要。 有益性が高いと考えられる時のみ説明と予防のうえ施行考慮  

予防法(例)
プレドニゾロン50mgを造影剤投与13時間前、7時間前、1時間前に投与  
経口投与できない時は、 デキサメタゾン7.5mg(デカドロンなど)、
もしくはベタメタゾン 6.5mg(リンデロン注)などのリン酸エステル型ステロイドを静注も可
ヒグアナイド服薬eGFR  30~60mL/min/1.73m2の腎機能低下を認める場合は、
検査後48時間はヒグアナイドを休薬する。
(eGFR  30mL/min/1.73m2未満はヒグアナイド禁忌)
妊婦50~100mGy以下であれば、胎児に奇形や中枢神経障害のリスクは上昇しない。ただし、胎児の発癌リスク高くなるため、有益と判断された場合のみ施行すべき。 (腹部骨盤部CT の1相の撮像で胎児への線量は18mGy程度)
急性腹症診療ガイドライン2025を参考に作成

 腎機能障害の対応として入院患者は、これで対応できますが、救急外来や内科外来では、検査前後6時間以上滞在させるのは時間かかりますよね。そうなると、重炭酸ナトリウム液も選択肢になるのでしょう。

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